カテゴリー別アーカイブ: 往診鞄

「往診鞄 №28」 尿のいろいろ

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」272号

(H26.1.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

 

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普通、起きてから就寝までの排尿回数が8回以上、または就寝中の排尿回数が1回以上の場合を頻尿と呼びます。但し、それ以下の回数でも、感覚として多いと感じる場合には頻尿といえます。原因としては、過活動膀胱、残尿を起こす疾患、多尿、感染症、炎症、結石、腫瘍、心因性などが挙げられます。過活動膀胱は原因不明のこともありますが、女性の場合は女性ホルモンの低下により膀胱の粘膜が過敏になること、男性の場合は前立腺肥大症や脳脊髄疾患に合併することが多いです。残尿が発生すると次の尿意を感じるまでの時間が短くなります。残尿を起こす疾患としては、前立腺肥大症、糖尿病、腰椎の病気、おなかの手術後などがあります。多尿(尿量が多い)に関しては、糖尿病、飲水過多、薬剤(利尿剤)、アルコールなどが原因となります。膀胱炎や前立腺炎などの感染でも頻尿になります。間質性膀胱炎は膀胱に起こる原因不明の慢性炎症ですが、頻尿が続くのが特徴です。膀胱がんや膀胱結石でも膀胱刺激症状として頻尿がみられることがあります。心因性頻尿は、検査にて異常がないにも関わらず、トイレのことばかり気になる状態です。睡眠中は症状がおさまるのが特徴です。このように頻尿には様々な原因があり、治療方法も原因によって様々です。原因に応じた適切な治療をすることが重要です。悩んでいる方は一度ご相談下さい。

「往診鞄 №27」 インフルエンザ

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」270号

(H25.11.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

 

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 

風邪とインフルエンザは特徴が異なります。風邪は咽頭痛や鼻水、咳などの上気道炎症状が中心ですが、インフルエンザは数日の潜伏期間の後、急激に発症する高熱や全身筋肉痛などが中心です。気管支炎や肺炎を合併しやすく、脳炎や心不全を起こす場合もあります。特に高齢者は注意が必要です。

インフルエンザの予防に効果があるのがワクチン接種です。流行を迎える前の10月から11月の接種がお勧めです。インフルエンザワクチンは、13歳未満は2から4週間の間隔をおいて2回接種。13歳から64歳は原則1回ですが、基礎疾患のある方や健康状態が万全でない方は効果の高い2回打ちをお勧めします。1回打ちでは約70%、2回打ちでは約90%の予防効果があるとされます。65歳以上の高齢者やインフルエンザにかかった既往がある人なら、1回の接種でも十分な効果があるとされています。接種後に効果が発現するのは約2週間後。その効果は諸説ありますが、約5ヶ月間もつとされています。

また、家族内に感染者が出てしまった場合には、タミフルやリレンザの予防投与という手段もあります。予防の場合は普段の投与方法とは少し異なります。但し、残念ながらこの方法は保険の適応にはなりません。予防接種がまだの方は今が時期ですよ。

往診鞄 №26 「背部痛」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」268号

(H25.9.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

 

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背中が痛いという経験をした方はたくさんいらっしゃるのではないかと思います。一般的には脊椎(頚椎や胸椎)、肩関節、腰背部筋などの整形外科的なものであることが多いのですが、その中には内臓やその他の原因であることもあります。まずは、膵炎が有名ですが、油物やアルコールの摂取後に起こる、放散痛と呼ばれる上背部痛が知られています。大酒家や大食家の方は特に注意が必要です。肝臓疾患や膵癌でも同様の背部痛が現れることがあります。また、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患は前胸部痛が起こることで有名ですが、初めの症状として背部痛を訴える方もいらっしゃいます。大動脈が少しずつ裂ける解離性大動脈瘤での背部痛もまた有名です。どちらも高血圧や生活習慣病などのある方は念頭においておかなくてはいけません。泌尿器科系の疾患としては、腎結石や尿管結石、進行腎臓癌なども背部痛で有名ですが、痛みの位置がやや低くて左右差があり、時折血尿などを認めることが特徴です。稀には肺炎や肺の一部が破れる気胸、皮疹が出現する前の帯状疱疹なども忘れてはなりません。背部痛がなかなか治らずに整形外科を受診しても特に原因がわからないような場合には一度内科的な検査も必要かもしれませんね。

 

往診鞄№25 「禁煙外来」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」266号

(H25.7.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

 

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喫煙者の方は喫煙しないと禁断症状を伴うニコチン依存症という病態です。

ですから1箱400円を超えた現在でも、高いと分かっていて吸ってしまいます。タバコに含まれているニコチンへの依存を克服しなければ、喫煙との決別は困難です。最近、新しい内服薬による治療方法により禁煙の成功率は高まってきました。喫煙者にはニコチンとくっつくニコチン受容体という物質が発生します。ニコチン受容体は空になるとニコチンが欲しくなり、ニコチンとくっつくと満足感を得ます。新しい内服薬はニコチンではないのに、この受容体とくっつくことでニコチンへの欲望を無くします。

決められた条件を満たせば保険適応で新しい内服薬による禁煙外来を受診することができます。治療内容は12週間、アドバイスに従って2週間に一度受診。費用負担は3割負担として、薬代を含めて5千円強/月。3ヶ月で1万5千円強です。10本/日以上喫煙する人であれば、銘柄にもよりますが、タバコにかかる費用と同等あるいは安い金額となります。もし成功すればその後の費用対効果は計算できません。成功率はニコチンパッチと比べて高く、60%から70%と言われています。

初めて禁煙を決意された方、何度も失敗している方、とりあえず相談して下さい。

往診鞄№24 「睡眠時無呼吸症候群」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」264号(H25.5.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

 

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日頃からいびきの大きい方、いびきといびきの間に間隔の空く方は睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。原因は主に肥満、扁桃肥大、小顎症などがあります。自覚症状には、昼間の眠気、起きた時の熟睡感のなさなどがあります。

睡眠中に脳や心臓に酸素が行きにくい時間帯がある訳ですから、重症の無呼吸患者さんが治療を受けない場合に10年以内に4割の方が脳卒中、心臓病、事故等で亡くなるという怖いデータもあります。また、脳卒中や心臓病は健康な方の3から4倍の発症率と言われています。

診断は睡眠中に機械を装着して寝て頂く、終夜睡眠ポリグラフィーという検査で行います。治療方法には減量、禁酒、手術等による原因の除去以外に軽症の無呼吸に対してはマウスピースの着用、中等度以上の無呼吸にはCPAP療法とされています。CPAP療法は普段から機械を装着して眠って頂き、呼吸が止まると自動的に機械が空気を気道に送り込むというものです。定期的に機械よりデータを取り出して分析しますが、かなりの方は装着後にAHI(無呼吸指数)が正常化します。

自覚症状に心当たりのある方、家族から指摘されたことのある方、一度御相談くださいね!

 

往診鞄№23 「過活動膀胱」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」262号(H25.3.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

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過活動膀胱とは男女問わず、頻尿や尿意切迫感、切迫性尿失禁をきたす病気です。尿意切迫感とは急に尿意をもよおしてがまんできない。切迫性尿失禁とは我慢できずに漏れてしまうことです。実は40歳以上の8人に1人が、過活動性膀胱があることがわかってきました。男性の場合、前立腺肥大症が併存する場合があります。原因としては神経因性過活動膀胱(脳や脊髄の障害)、非神経因性過活動膀胱(前立腺肥大症や骨盤低筋の障害、その他)に分けられます。治療方法としては行動療法や薬物療法があります。行動療法には頻尿に対する膀胱訓練・・尿意を我慢する訓練を、短い時間から始めて少しずつ時間を延ばしていきます。切迫性尿失禁に対しては骨盤低筋体操・・肛門を閉めたり緩めたりを繰り返し、徐々に時間を延ばしていきます。他には下半身を冷やさない、便秘やアルコール、カフェインを避ける等が挙げられます。ただし、前立腺肥大のある方はまず前立腺肥大の治療を行い、効果不十分のときに過活動膀胱の治療を考えるべきです。場合によってはいきなりの膀胱訓練は前立腺肥大の症状を悪化させることもあります。また、薬物療法はこれまで抗コリン作動薬が中心でしたが、新たにβ3刺激薬が治療の選択肢に加わり、治療に少しはばが広がりました。まだまだ寒い日が続きますが、思い当たる方は一度相談してみて下さいね!

往診鞄№22 「脂肪肝」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」260号(H25.1.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

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健康診断や人間ドックを受けると、脂肪肝と言われた人がいらっしゃると思います。特に中若年層を中心に脂肪肝は増加しています。原因は過食や飲酒により、肥満(皮下脂肪や体内脂肪)だけではなく、さらに肝臓に脂肪分が付着している状態です。アルコールの飲みすぎでも脂肪分の付着は促進されます。一般には脂肪分が肝臓全体の5%を超えた場合に脂肪肝と定義されます。男性が多く、特にアルコールが原因の場合は、肝硬変へと進むこともあります。また、最近ではアルコールを摂取しない人でも脂肪肝から肝硬変、場合によっては肝臓ガンへ進行していくことが知られています。非アルコール性脂肪肝(NASH)と呼ばれています。原因は急激なダイエットとリバウンドです。つまり、脂肪肝の予防や治療には肥満に対するダイエットが必要ではありますが、偏ったダイエットではなく、バランスの良い食事が必要となります。適度な運動は言うまでもありません。
検診の結果で脂肪肝と書かれていなくても、ALT(GPT)が優位に上昇していれば要注意です。腹部エコーによる脂肪肝の判定を受けて下さい。脂肪肝に対する治療はウルソデオキシコール酸やタウリンなどが挙げられますが、根本的な高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病などの治療が重要なことは言うまでもありません。気になる方は一度御相談下さい。

往診鞄№21 「便秘には種類があるって知ってましたか?」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」258号(H24.11.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

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 便秘には種類があるって知ってましたか?最も多い弛緩性便秘、直腸に問題のある直腸性便秘、ストレス等が原因の痙攣性便秘、その混合型などがあります。どんなタイプでも共通の解決策としてトイレに行く時間を決める、水分をしっかり摂る、善玉菌を増やす、食物繊維を摂るなどがありますが、それでも効果の出ない場合、タイプによる原因にあった薬剤の選択が必要です。弛緩性便秘は大腸全体の運動と緊張が低下して、便の通過がゆっくりになり、水分の過吸収により起こります。非水溶性の食物繊維(コンニャクや海藻類)や酸化マグネシウム、大腸を刺激する少量の漢方などが有効です。直腸性便秘は、トイレを我慢したり、食事を不規則に摂ったり、便秘薬を不用意に常習したりが原因となって主に直腸に便が溜まります。生活習慣を改善することは言うまでもありませんが、一般的な刺激性の下剤は逆効果になることも多いです。酸化マグネシウムや排便を促す座薬などは比較的効果があります。ストレスによる痙攣性便秘は便秘型の過敏性腸症候群の一症状と考えられ、自律神経に作用する薬が適しています。また、一般的にはセンナ系の下剤は良く効くために多く使われていますが、長期的には耐性や薬剤による便秘の可能性があります。悩まれている方はご相談下さいね。

往診鞄№20 「コレステロールや中性脂肪が高い方」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」256号(H24.9.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

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 特にコレステロールや中性脂肪が高い方は、脳梗塞や心筋梗塞の原因となる動脈硬化が自分にどの程度起こっているか知りたいという方は多いと思います。動脈硬化の程度を調べるには、血液検査による動脈硬化指数、CAVI(心臓足首動脈硬化指数)測定などがありますが、やはり頸動脈エコーは実際に頸動脈の分厚さや血流の低下、血管内プラークの存在などが目に見えるためにインパクトがあります。なぜ頸動脈なのか?については頸動脈が表面近くにあってエコーで見やすいこと、脳の手前の血管であり脳血管の変化に近いと考えられること、頸動脈の動脈硬化の程度は全身の動脈硬化の程度に比例することがわかっていることなどが挙げられます。実際の検査は首にゼリーを塗って、10分程度エコーで観察するだけです。もちろん痛みは伴いません。血管の厚さの指標であるIMT(内膜中膜複合体厚)は正常値が1.1mm以下ですが、1.3mmを超えると脳梗塞や心筋梗塞(狭心症)の将来の可能性が高くなると言われています。コレステロールや中性脂肪が高いと言われても運動や食事療法が3日坊主な方、薬を飲んでもなかなか下がらない方、一度受けて見られては如何ですか?当院では電話でもご予約を受け付けています。

往診鞄 №19 「人間ドック半額助成」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」254号(H24.7.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 三田市在住の国民健康保険に加入される40歳以上の方は、現在、特定健康診断を無料で受けられますが、さらに詳細な人間ドックを希望する場合、左記の料金の半額が市から助成されます。但し、人間ドックの結果の一部は市へ報告されます(特定健康診断と人間ドックの両方は受けられません)。
●Aコース(8000円)
身体計測+尿検査+血圧+心電図+胸部レントゲン+血液検査+便検査
(所要時間約1時間)
●Bコース(11000円)
Aコース+腹部エコー+骨年齢測定+肺年齢測定+血管年齢測定
(所要時間約1時間30分)
●Cコース(21000円)
Bコース+胃カメラ
(所要時間約2時間)
※腫瘍マーカー等の各種オプション検査も追加可能です。最近メタボが心配だけれど、しばらく検査をしていない方、人間ドックを受けたいけれど、値段が心配という方、忙しくて時間がない方などはお勧めです。
 また、希望の方は、当院へお電話でご予約の上、三田市国保医療課の窓口にて助成券を発行して頂き、当日助成券を持参して下さい。