カテゴリー別アーカイブ: 往診鞄

いまだ先生の往診鞄 №40

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」296号
(H28.1.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 もうすぐ嫌な花粉症の季節がやって来ます。暖冬の影響で飛散開始時期が昨年より早い様です。当院では発売当初よりスギ花粉症に対する舌下免疫療法を開始していますが、予想されていたよりも副作用は少なく、効果はかなり期待できる様です。
 但し、この治療法は特異的免疫療法であり、スギ花粉症にしか効果はありません。ですから花粉症の原因がスギ花粉だけか、スギ花粉が主の人にしか適応にはなりません。また、治療期間が3年以上にわたることも念頭に置いて頂かなければなりません。また、治療を受けて頂いた方全員に効果が期待できる訳ではありません。また、この治療はスギ花粉シーズンには開始できません。但し、長い治療の後にスギ花粉症が完治する場合があります。これが他の治療法と比較して大きく異なる点です。
 スギ花粉以外にもヒノキ花粉症やイネ科花粉症もあるよという方にはやはり抗ヒスタミン薬による治療が基本になります。非常に効果がありますが、眠くなったり作業効率が落ちることが欠点です。そんな場合は抗ヒスタミン薬を使わずに、漢方、抗LT薬、点鼻薬などを組み合わせることもできます。注射による非特異的免疫療法という方法もあります。週1回の皮下注射を計6回行います。
 また、当院では新しく発売となったダニアレルギーに対する舌下免疫療法も開始しています。是非一度ご相談ください。

「往診鞄 №39」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」294号
(H27.11.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 今年のインフルエンザワクチンは去年より値段が上がったなと感じておられる方々も多いと思います。昨年までのワクチンは3種類のウイルスをターゲットにしていましたが、今年からは4種類に増やしているのがその原因です。
 最近はインフルエンザの流行時期が広範となり、接種時期については迷うところですが、やはりピークは12月から2月であり、接種から効果が出るまでに2週間かかることを考えると、11月辺りがベストでしょう。また、12歳以下の子供さんは原則2回接種ですので、中4週間を逆算すると1回目の接種は10月がベストとなります。重要なイベントを控えている方は、それに照準を合わせるのも一つの考え方です。
 因みにインフルエンザ予防接種の効力は約5ヵ月持続すると言われています。また、インフルエンザが重症化しやすいのはお年寄りです。三田市では10/15より65歳以上の方への接種の助成が始まっています。ぜひご利用頂きたいと思います。また、65歳以上の方はインフルエンザとの混合感染による肺炎にも気をつけなければなりません。肺炎球菌ワクチンの併用は非常に有効です。
 最後に、ワクチンの効果は100%ではありません。接種後にかかる方もいらっしゃいます。仮にかかっても、重症化する率は低くなるのは間違いありません。当院ではなるべく多くの患者さまに接種戴けるように考えております。是非お問い合わせ下さい。

「往診鞄 №38」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」292号
(H27.9.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 当院ではマンモグラフィーや触診の乳がん検診で異常を疑われた方、御自分で異常に気づいて受診された方等に積極的に乳腺エコーを行っています。特に40歳代半ばまでの方は、おっぱいがしっかりしている方が多く、マンモグラフィーで無理に挟んで撮影するよりもエコーの方が乳がん検出率は優れています。また、50歳代以上の方でも、非常に小さなしこりなどに対してはエコーでなければわからないことも多いです。
 一部の乳腺腫瘍は小さな石灰化(固くなった組織)を伴うことが特徴とされていますが、これに対してはマンモグラフィーの方がよくわかります。しかし、最近の乳腺エコーには①造影剤を使いながら検査を行ったり、②エラストグラフィーといってしこりの固さをエコーが判断してくれたりと、乳がんの診断能力は数年前と比べて飛躍的に上がっています。
 撮影できる患者さまの数が限られるマンモグラフィーと異なり、エコーは心配なときにすぐに、絶食等なく受けることが出来ます。また、被曝もありませんので、心配なしこりに対して短い間隔で再検査を受けて頂くことも可能です。もちろん当院では心配なしこりに対して細胞診や針生検を行っており、必要に応じて専門機関へ紹介させて頂きます。被曝が嫌な方、おっぱいを挟まれるのが痛かった方など、当院では乳腺専門の女性超音波技師(予約)が担当させて頂きます。

「往診鞄 №37」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」290号
(H27.7.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 通常は1日に1から2回の排便がありますが、2~3日排便がなくても本人がつらくなければ便秘とは言いません。逆に毎日排便があってもすっきりせず、お腹がはるなどの場合は便秘と言えます。
 便秘には大きく『機能性便秘』と『器質性便秘』(腸の病気によるもの)に分かれます。ほとんどは機能性便秘ですが、稀に潜む器質性便秘、特に大腸がんなどを見逃してはなりません。
 機能性便秘はさらに『弛緩性便秘』『痙攣性便秘』『直腸性便秘』に分類されます。痙攣性便秘はいわゆる便秘型過敏性腸症候群であり、精神的なことや自律神経失調が原因であることが多いです。直腸型便秘は特に高齢の方で便を出す力が弱り、直腸に便が溜まってしまう状態です。最後に一番多いのが弛緩性便秘です。
 原因としては、不規則な食事や生活、線維・ビタミン・水分・脂質の摂取不足、下剤の使い過ぎ、仕事や習慣で便意のある時にトイレに行けない等があります。
 対処方法としては、規則正しい生活や排便習慣、適度な線維・ビタミン・水分・脂質の摂取はもちろんのこと、適度な糖質や香辛料なども排便を促します。また、それだけではなく状態にあった下剤や腸管運動促進剤を使うことが大切なことは言うまでもありません。

「往診鞄 №36」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」288号
(H27.5.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 皆様はご自分の健康についてちゃんとチェックしていますか?そろそろいい年なので、会社の検診だけでは心配!でも、本格的な人間ドックは時間もかかるし高いし。といった方に、当院ではコースによって1~3時間で済ますことのできる「半日人間ドック」を施行しています。
 一般内科診療・身体検査(身長・体重・BMI・体脂肪率・肥満度)・眼科検査(視力・眼底検査)・聴力・採血(脂質・肝機能・腎機能・尿酸・糖尿・貧血など)・胸部X-P・心電図・便検査などの基本コースA。これに血管年齢(血圧脈波測定)・肺年齢(スパイロメーター)・骨年齢(骨密度測定)・腹部エコーを加えたコースB。さらに経鼻上部消化管内視鏡を加えたコースC。
 加えて、前立腺検診(直腸診+PSA測定)・乳がん検診(視触診+乳腺エコー)・甲状腺検診(視触診+甲状腺エコー+甲状腺ホルモン採血)・各種癌マーカー・各種エコー(心臓・頚動脈・下肢血管など)他いろいろなオプションも選択可能です。
 異常を示した検査結果にはコメントがつき、冊子となって自宅へ送付されます。冊子は誰にも解りやすく作られていますが、質問があれば受け付けております。これを機にあなたもいかがですか?

「往診鞄 №35」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」286号
(H27.3.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

嫌なスギ花粉の季節がやって来ました。去年は比較的飛散量が少なかったですが、残念ながら今年はかなり多くなりそうです。治療の基本は抗ヒスタミン薬の服用になりますが、副作用として昼間に眠くなったり、仕事や勉強中にぼーっとしてしまうのが難点です。大事な会議や試験がある場合には、抗ロイコトリエン薬や漢方薬という選択肢もあります。抗ヒスタミン薬に比べて効果はやや低いですが、2者併用や点鼻薬の追加によりかなりの効果を得ることができますよ。特に受験生の方などには大変お勧めです。また、スギ花粉だけでなくヒノキやイネ科にもアレルギーがあり、服用期間が長くなってしまうような場合には非特異的減感作療法という方法もあります。スギだけでなく全般的なアレルギーに対するアレルギー反応を低下させるもので、週1回の皮下注射を6回行い行ないます。7割の方に効果が見られ、副作用はほとんどありません。また、スギに対する経口薬による減感作療法も当院では始まっていますが投与期間が長く、スギ花粉シーズンには治療が開始できないのが難点です。また、当院では、副作用の強いステロイド注射は施行しておりません。嫌なシーズンが本格的に始まる前に、皆様それぞれの御希望に応じたオーダーメードな花粉症治療ができれば良いですね。

「往診鞄 №34」皆様あけましておめでとうございます。

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」284号
(H27.1.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 今年も年6回ではございますが、引き続き健康についての連載をして参りたいと思いますので、何卒宜しくお願い致します。
 さて、皆様は昨年中にご自分の健康についてチェックされましたか?
 会社で受けた検診の結果をほったらかしにしているが大丈夫だろうか?、人間ドックを受けたが、結果が難しくて良くわからないなど、様々なご相談に応じますので、報告書をお持ちの上、ぜひご来院ください。
 また、どちらも受けていないよ!という方に、当院ではコースによって1~3時間で済ますことのできる「半日人間ドック」を施行しています。採血・胸部X-P・心電図・便検査などの基本コースA。これに血管年齢・肺年齢・骨年齢・腹部エコーを加えたコースB。さらに経鼻上部消化管内視鏡を加えたコースC。
 加えて、前立腺検診・乳がん検診・甲状腺検診・各種腫瘍マーカー・各種エコー(心臓、頚動脈、下肢血管、乳腺など)のオプションも選択可能です。
 異常を示した検査結果にはコメントがつき、冊子となって自宅へ返送されます。
 お気軽にご相談いただき、新たな一年を健やかに過ごして頂ければ幸いです。

「往診鞄 №33」スギ花粉に対する新しい方法

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」282号
(H26.11.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

減感作療法とは、アレルギーの原因であるアレルゲン物質を少量から患者さまに投与していき、徐々に増やしていくことでアレルゲンに対するアレルギー反応を軽減させる治療方法です。抗アレルギー薬は表面的にアレルギーを抑えるだけですが、減感作療法は根本的にアレルギー反応を起こさないようにします。
 今まで減感作療法は注射による方法が一般的でしたが、今回はスギアレルギーに対してのみ、舌下投与による薬が発売されました。注射と異なり自宅で減感作療法を進めることができ、長期に渡り症状を抑えることができます。
 但し、投与前にはスギアレルギーであることの検査が必要であり、治療には3年から5年かかります。また、すべての患者さまに効果が期待できるわけではなく、投薬終了後に症状が再発してしまうこともあります。また、稀にアナフィラキシーと呼ばれる強いアレルギー反応が見られることもあります。
 投薬開始についてはスギ花粉症シーズン中に投与を始めることはできません。
毎年スギでつらい思いをされている方、抗アレルギー薬が眠くて服用できない方など興味のある方は一度御相談ください。

「往診鞄 №32」 乳腺専門の女性超音波技師が担当

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」280号
(H26.9.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 当院では触診による乳がん検診で異常を疑われた方には積極的に乳腺エコーを行っています。特に40歳代半ばまでの方は、おっぱいがしっかりしている方が多く、マンモグラフィーで無理に挟んで撮影するよりもエコーの方が乳がんの検出率は優れていると言われています。また、50歳代以上の方でも、非常に小さなしこりなどに対してはエコーでなければわからないことも多いです。
もちろん、一部の乳腺腫瘍は小さな石灰化(固くなった組織)を伴うことが特徴とされていますが、これに対してはマンモグラフィーの方がよくわかります。
しかし、最近の乳腺エコーには①造影剤を使いながら検査を行ったり、②エラストグラフィーといってしこりの固さをエコーが判断してくれたりと、乳がんの診断能力は数年前と比べて飛躍的に上がっています。撮影できる患者さまの数が限られるマンモグラフィーと異なり、エコーは心配なときにすぐに、絶食等なく受けることが出来ます。また、被曝もありませんので、心配なしこりに対して短い間隔で再検査を受けて頂くことも可能です。もちろん当院では心配なしこりに対しては細胞診や針生検を行っています。
 放射線の被曝が嫌な方、おっぱいを挟まれるのが痛かった方など、当院では乳腺専門の女性超音波技師が担当させて頂きます。

「往診鞄 №31」低血圧、貧血、自律神経失調症、更年期症候群

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」278号
(H26.7.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 立ち上がるとよろめいたり、長風呂をしているとくらっとなるなどの症状は特に夏になると女性によく見られる症状です。原因としては低血圧、貧血、
自律神経失調症、更年期症候群などが挙げられます。低血圧は血圧を測定して、収縮期血圧が100以下または拡張期血圧が60以下を低血圧症とされます。
もちろん低血圧症でも症状のない方は問題ありません。でも、立ちくらみがあって、朝にベットの上でしばらくぼーっとしないと起きれないなどの症状がある方は一度血圧を計ってみて下さい。対策は水分や食事をしっかり摂ることです。夏バテによる食欲低下が立ちくらみにつながることは少なくありません。
それでも日常生活に支障が出る場合は少しだけ血圧を上げてあげる薬があります。貧血も立ちくらみの大きな原因となります。あっかんベーをすると白い、脈拍が早い、生理直後に症状がひどくなるなどの心当たりがあれば、一度血液検査をされるべきです。また、婦人科疾患や消化器疾患、血液疾患が隠れている場合もあります。立った時に血圧が下がらないように調節するのが自律神経です。自律神経失調症があると、座っていると血圧は正常ですが、立位で大きく下がります。また、前記に当てはまらずに時期的に更年期症候群を疑われる場合もあります。いずれにせよ困っている方は一度相談頂けたらと思いますよ。