カテゴリー別アーカイブ: 往診鞄

往診鞄 №18 「睡眠時無呼吸症候群」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」252号(H24.5.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 睡眠が妨げられる原因として最近、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が注目されています。睡眠中に呼吸をしていないと家族から指摘されることが多く、自覚症状としては、いびき、日中の眠気、頭痛やインポテンツなどがあります。無呼吸の状態とは、呼吸が10秒以上止まっていることを示し、この状態が7時間に30回以上、または、1時間に5回以上あると睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断となります。SASを放置すると、睡眠中に低酸素状態に曝されているわけですから、二次的に高血圧や糖尿病、脳卒中や虚血性心疾患につながります。
 診断は終夜ポリグラフィーという装置で無呼吸指数を算出して行います。当院では入院せずに簡易的に在宅で検査を行うことができます。診断後に軽症の場合は、減量や生活習慣の改良、マウスピースなどで症状が改善することもあります。しかし、中等度以上のSASにはCPAPと呼ばれる装置が適応になります。睡眠中は機械につながったマスクを装着頂き、呼吸が止まるとマスクへ送気されます。月に一回、機械からデータカードを取り出して持参頂き、専用のソフトで呼吸状態を解析します。昼間の異常な眠気やいびきがうるさいと言われる方、一度受診されても良いかも知れませんね。

往診鞄 №17 「花粉症」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」250号(H24.3.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 今年も嫌な花粉症のシーズンに突入です。2月の上旬までは記録的な寒さの影響で、花粉の飛散は例年より抑えられていますが、その後は少しずつ寒さも緩み、2月後半からは兵庫県にも本格的な花粉の飛散が始まります。飛散量は、多いとされた昨年の半分程度と予想されていますが、それでも症状の原因となるには十分です。毎年悩まされている方はできれば症状が出る前に治療や生活改善を始めることが効果的です。
 日常生活で気をつけることは、偏った食事やインスタント食品、アルコールを避け、マスクを常用する、なるべく鼻で呼吸する、花粉対応の空気清浄機を使用する、外から帰ったら服に付着した花粉を徹底的に払い落とすなどが挙げられます。
 治療方法には症状に応じて、遊離抑制薬、第二世代抗ヒスタミン薬、Th2サイトカイン阻害薬、プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2受容体拮抗薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、ステロイドなどの内服薬から単独または組み合わせて使いますが、状況によっては点鼻薬や点眼薬なども組み合わせます。
 また、受験生の方など眠気が厳禁の場合には、漢方薬と点鼻、点眼薬を組み合わせることもできます。毎年悩まされている方は、一度相談してみて下さい。

往診鞄 №16 「インフルエンザ」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」248号(H24.1.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 インフルエンザの流行が兵庫県でも、年末頃より徐々に目立って来ています。但し、流行の推移は例年より遅めで、本格化するのは新年からと考えられます。
 今のところ、流行の中心は香港A型であり、新型は今年はほぼ指摘されていません。インフルエンザを発症する患者さんの多くは、中学生以下の子どもさんですが、インフルエンザによる死亡者のほとんどは65歳以上の高齢の方たちです。
 つまり、65歳以上の方は感染する頻度は低いですが、一度かかると怖いのです。特に肺炎球菌との混合感染は重症化することが知られています。
 うがい、マスクや加湿器、人混みを避けるなどと共に、特に高齢の方はインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンを今からでも接種することをお勧めします。

往診鞄 №15 「ALTA注射とは?」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」246号(H23.11.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 最近、注射で痔を治す方法として、ALTA注射という方法が少しずつ知られてきています。適応は出血や脱出を伴う内痔核であり、痔に針を直接刺して薬を注入し、痔を固めてしまうという考え方です。昔からある硬化療法の進化版と考えて頂けばよいです。
 痔に直接針を刺すのって痛くないの?と思いがちですが、内痔核というのは直腸の粘膜の一部であり、痛みの神経が無いために、それほどでもないのです。さらに注射前には、肛門周囲に局所麻酔を使いますし、注入する薬自体にも麻酔薬が含まれています。また、薬はいい加減に注入するのではなく、痔を大きく4領域に分け、各々に少量ずつ薬を注入します。時間は注入後の薬液を拡げるためのマッサージを含めて20分間程度であり、そのまま家に帰って頂き、すぐに食事も摂って頂いて結構です。たまに注入後の痛みや出血がほんの一部の方に見られることがありますが、手術に比べれば軽微なものがほとんどです。また、内痔核以外にも、一部の外痔核や直腸脱にもALTA注射がうまくいくことがあります。
 長い間、おしりに悩んでいてもなかなか手術に踏み切れない、ずーっと座薬を使用しているなどの皆様、宜しければ一度御相談くださいね。

往診鞄№14 「機能性ディスペプシアとは?」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」244号(H23.9.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

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 胃のもたれや不快感、痛みがあっても、内視鏡検査で異常がないことがままあります。こんな症状が長期に及ぶ場合、医学的には機能性ディスペプシアと呼ばれています。症状があって内視鏡を受けた患者さまの中で、約半数に上る人に実は異常がないという報告もあり、機能性ディスペプシアは意外に多いともされています。昔に検査では異常がなく、「胃下垂ですね」と言われた人も実はかなりの人がこれに当てはまるとも言われています。タイプとしては食後愁訴症候群(胃もたれ)、心窩部痛症候群(胃の痛み)などがあります。治療方法としては消化管の動きを促進する薬や酸分泌を抑える薬に効果があるとされますが、不眠や他の症状を合併していることが多く、症状に応じた治療も重要とされます。漢方などが著効することもあります。また、胃の症状がある患者さまの中で半分の方には異常がないと言っても、半分の方には異常が見つかるわけですから、内視鏡検査が重要であることに変わりはありません。また、ディスペプシアの患者さまで、内視鏡の結果に異常がないと聞くと症状が消失する方がいらっしゃることも、内視鏡の一つのメリットとも言えます。長期に渡って胃の症状でお悩みの方、一度御相談ください。

往診鞄 №13 「比較的楽に受けられる経鼻内視鏡」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」242号(H23.7.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 日本における胃癌の患者さんは年々減少傾向にあります。しかし、胃癌による死亡数は、癌の中で依然男性では2位、女性では3位です。特に日本人に胃癌が多い理由としては塩分の取りすぎが挙げられます。和食は低脂肪で健康的ですが、塩分摂取量が多いことに要注意です。また、ヘリコバクターピロリ菌も胃癌の原因の一つです。発症リスクを高める原因の一つとなります。治療に関しては、早いステージで治療を始めるほど、生存率や治療成績も良くなります。
 たとえば、胃粘膜内におさまる癌はリンパ節転移の可能性が低く、EMR(内視鏡的粘膜切除術)やESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)などの内視鏡処置だけで切除できることがあります。また、仮にもう少しステージが進んでいても、腫瘍の範囲やリンパ節転移の範囲が限られていれば、昔のように大きな傷をつけることなく腹腔鏡で手術を行うことも可能です。
 胃癌には特有の症状はありません。多くはただの胃炎や胃潰瘍と共通しています。また、初期にはほとんど症状はありません。以前より胃の症状が気になる方や、しばらく胃の検査を受けてない方!早め早めにぜひ、比較的楽に受けられる経鼻内視鏡をお勧めします!

往診鞄 №12 「LDLコレステロール(悪玉)について」

「それぞれの事情にあった治療方針が大切!!」

くらしのネットワーク情報誌「Town Life」に掲載した上記の記事をご紹介いたします。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 LDLコレステロール(悪玉)が140以下でないと心筋梗塞や脳梗塞になりやすい。今まで常識とされて、ドックや検診で何度も言われて来たことです。さらにアメリカなどでは、LDLを100以下にした方が良いという説まであります。でも最近LDLコレステロールや中性脂肪が高い方が死亡率が低く、長生きするなど全く逆の説がマスコミに取り上げられています。
 どっちを信じたらよいの?実は動脈硬化学会と脂質栄養学会という学会間の主張の違いなのです。お互いが日本人をひとくくりにして、自説でイニシアチブを取ろうとしています。
 でも、事情は人によってそれぞれ異なります。家族みんなコレステロールが高い人、肥満や糖尿病などの合併症がある人、癌家系の人(コレステロールが高い方が癌になりにくい)、家族に心臓血管系の病気が多い人などそれぞれの事情にあった方針が大切だと思います。
 当院では実際に血圧脈波測定や頚動脈エコーにより、動脈硬化の程度や血管年齢を測定することもできます。
 悩んでいる方はもしよければ相談して下さいね。

往診鞄 №11 「痔核」

「おしりで悩んでいる方必見!!」

くらしのネットワーク情報誌「Town Life」に掲載した上記の記事をご紹介いたします。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 痔核の3大症状は、排便時の①出血②疼痛③脱出です。治療はまず、保存的に行います。肛門を清潔にして温め、便通を整えます。時には整腸剤や緩下剤も使用します。それに加えて、内服薬や座薬、軟膏を使用するとかなりの割合で良くなります。
 これでも良くならない場合は手術を考える前に硬化療法という手段があります。痔に直接薬液を注入して痔を固めてしまう方法です。ジオン注は新しく認可された痔核注入薬で、4段階注入法という特殊な方法を用います。簡便かつ15分程度で終わる処置であり、手術に抵抗のある人にはお勧めです。但し、1年後には15%程度の人に再発を認めます。この場合はジオンの再注入や手術を検討します。肛門疾患には、最も多い内痔核以外にも外痔核、血栓性外痔核、裂肛、痔ろう、直腸脱など他の疾患もあります。ジオン注の適応は内痔核のみです。
 おしりで悩んでいる方、一度相談してみて下さいね。

往診鞄№1 「ピロリ菌」

「日本人では約70%がピロリ菌に感染しているといわれています!!」

くらしのネットワーク情報誌「Town Life」に掲載した上記の記事をご紹介いたします。

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 40歳以上の日本人では約70%がピロリ菌に感染しているといわれています。胃内に生息し胃炎や潰瘍、また胃癌や悪性度の低い胃リンパ腫の原因になります。
 検査方法は内視鏡による生検(組織を採取して調べる)、採血による抗体測定法、呼気検査(呼気中のピロリ菌の産生物質を調べる)があり、ピロリ菌が確認された場合、3種類の薬を7日間服用して除菌いたします。約10人に1人の率で菌の残存があり、その時は改めて異なる薬での再除菌を行います。
 現在、保険が適応できるのは、胃潰瘍と十二指腸潰瘍だけですが、当院では全ての検査方法が可能で、胃カメラも細径の径鼻内視鏡を使用して比較的楽に受けて頂く事が出来、ご希望により軽い鎮静下での施行もいたします。胃痛、胃部不快感、膨満感、もたれ、胸やけ等でお悩みであれば是非ご相談下さい。

往診鞄№6 「おしりで悩んでいる方必見!!」

「痔の手術の前にこんな方法も・・・」

くらしのネットワーク情報誌「Town Life」に掲載した上記内容の記事をご紹介いたします。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 肛門の症状には様々あります。排便のたびにペーパーに血がつく、排便が痛くつらい、排便後に何かが飛び出しているが自然にもどる、あるいは出っ放しであるなどです。
 最も多い内痔核(肛門の内側にできる)の大きな症状では、①出血②疼痛③脱出の3つがあります。
 治療はまず、保全を行うことから始めます。肛門を清潔にして温め、便秘や下痢にならないように便通を整えます。時には整腸剤や緩下剤も使用し、また内服薬や座薬、軟膏を加えて使用すると、症状がかなりの割合で良くなります。
 これでも良くならない場合、手術での治療に至りますが、その前に硬化療法という手段があります。
 痔に直接薬液を注入して痔を固めてしまう方法です。最近はジオン注という優れた硬化剤があり、手術の効果に匹敵するとも言われています。
 硬化療法でも完治しない場合は手術になります。
 以上説明した内痔核(最も多い)以外にも、痔には外側にできる外痔核、突然できて痛みと伴う血栓性外痔核、排便時に肛門が裂ける裂肛、肛門内外に膿の通路ができる痔ろう、直腸自体が緩んで脱出する直腸脱などがあります。
 おしりで悩んでいる方、一度相談してみてくださいね。