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往診鞄 №17 「花粉症」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」250号(H24.3.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 今年も嫌な花粉症のシーズンに突入です。2月の上旬までは記録的な寒さの影響で、花粉の飛散は例年より抑えられていますが、その後は少しずつ寒さも緩み、2月後半からは兵庫県にも本格的な花粉の飛散が始まります。飛散量は、多いとされた昨年の半分程度と予想されていますが、それでも症状の原因となるには十分です。毎年悩まされている方はできれば症状が出る前に治療や生活改善を始めることが効果的です。
 日常生活で気をつけることは、偏った食事やインスタント食品、アルコールを避け、マスクを常用する、なるべく鼻で呼吸する、花粉対応の空気清浄機を使用する、外から帰ったら服に付着した花粉を徹底的に払い落とすなどが挙げられます。
 治療方法には症状に応じて、遊離抑制薬、第二世代抗ヒスタミン薬、Th2サイトカイン阻害薬、プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2受容体拮抗薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、ステロイドなどの内服薬から単独または組み合わせて使いますが、状況によっては点鼻薬や点眼薬なども組み合わせます。
 また、受験生の方など眠気が厳禁の場合には、漢方薬と点鼻、点眼薬を組み合わせることもできます。毎年悩まされている方は、一度相談してみて下さい。

往診鞄 №16 「インフルエンザ」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」248号(H24.1.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

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 インフルエンザの流行が兵庫県でも、年末頃より徐々に目立って来ています。但し、流行の推移は例年より遅めで、本格化するのは新年からと考えられます。
 今のところ、流行の中心は香港A型であり、新型は今年はほぼ指摘されていません。インフルエンザを発症する患者さんの多くは、中学生以下の子どもさんですが、インフルエンザによる死亡者のほとんどは65歳以上の高齢の方たちです。
 つまり、65歳以上の方は感染する頻度は低いですが、一度かかると怖いのです。特に肺炎球菌との混合感染は重症化することが知られています。
 うがい、マスクや加湿器、人混みを避けるなどと共に、特に高齢の方はインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンを今からでも接種することをお勧めします。

往診鞄 №15 「ALTA注射とは?」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」246号(H23.11.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

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 最近、注射で痔を治す方法として、ALTA注射という方法が少しずつ知られてきています。適応は出血や脱出を伴う内痔核であり、痔に針を直接刺して薬を注入し、痔を固めてしまうという考え方です。昔からある硬化療法の進化版と考えて頂けばよいです。
 痔に直接針を刺すのって痛くないの?と思いがちですが、内痔核というのは直腸の粘膜の一部であり、痛みの神経が無いために、それほどでもないのです。さらに注射前には、肛門周囲に局所麻酔を使いますし、注入する薬自体にも麻酔薬が含まれています。また、薬はいい加減に注入するのではなく、痔を大きく4領域に分け、各々に少量ずつ薬を注入します。時間は注入後の薬液を拡げるためのマッサージを含めて20分間程度であり、そのまま家に帰って頂き、すぐに食事も摂って頂いて結構です。たまに注入後の痛みや出血がほんの一部の方に見られることがありますが、手術に比べれば軽微なものがほとんどです。また、内痔核以外にも、一部の外痔核や直腸脱にもALTA注射がうまくいくことがあります。
 長い間、おしりに悩んでいてもなかなか手術に踏み切れない、ずーっと座薬を使用しているなどの皆様、宜しければ一度御相談くださいね。

「慢性腎臓病(CKD)とは」

「City Mate」
親と子のふれあい情報誌「City Mate」193号(H23.10.14発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 最近、慢性腎臓病(CKD)という言葉がよく使われます。腎臓の機能低下が徐々に進む病気です。
 今、日本では8人に1人がCKDと言われており増加傾向にあります。進行すればむくみや倦怠感などが出ますが、初期には症状はありません。
 原因としては、肥満・喫煙・高血圧症・高脂血症・高尿酸血症などが挙げられます。特に高尿酸血症は痛風にならなくても、CKDを悪化させることが注目されています。治療は、早期発見+予防治療です。検診で血清クレアチニン値や糸球体濾過値・尿検査などでひっかかった方はぜひ相談して下さいね。

往診鞄№14 「機能性ディスペプシアとは?」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」244号(H23.9.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 胃のもたれや不快感、痛みがあっても、内視鏡検査で異常がないことがままあります。こんな症状が長期に及ぶ場合、医学的には機能性ディスペプシアと呼ばれています。症状があって内視鏡を受けた患者さまの中で、約半数に上る人に実は異常がないという報告もあり、機能性ディスペプシアは意外に多いともされています。昔に検査では異常がなく、「胃下垂ですね」と言われた人も実はかなりの人がこれに当てはまるとも言われています。タイプとしては食後愁訴症候群(胃もたれ)、心窩部痛症候群(胃の痛み)などがあります。治療方法としては消化管の動きを促進する薬や酸分泌を抑える薬に効果があるとされますが、不眠や他の症状を合併していることが多く、症状に応じた治療も重要とされます。漢方などが著効することもあります。また、胃の症状がある患者さまの中で半分の方には異常がないと言っても、半分の方には異常が見つかるわけですから、内視鏡検査が重要であることに変わりはありません。また、ディスペプシアの患者さまで、内視鏡の結果に異常がないと聞くと症状が消失する方がいらっしゃることも、内視鏡の一つのメリットとも言えます。長期に渡って胃の症状でお悩みの方、一度御相談ください。

往診鞄 №13 「比較的楽に受けられる経鼻内視鏡」

くらしのネットワーク情報誌「Town LiFE」242号(H23.7.1発行)に掲載した記事をご紹介します。

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 日本における胃癌の患者さんは年々減少傾向にあります。しかし、胃癌による死亡数は、癌の中で依然男性では2位、女性では3位です。特に日本人に胃癌が多い理由としては塩分の取りすぎが挙げられます。和食は低脂肪で健康的ですが、塩分摂取量が多いことに要注意です。また、ヘリコバクターピロリ菌も胃癌の原因の一つです。発症リスクを高める原因の一つとなります。治療に関しては、早いステージで治療を始めるほど、生存率や治療成績も良くなります。
 たとえば、胃粘膜内におさまる癌はリンパ節転移の可能性が低く、EMR(内視鏡的粘膜切除術)やESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)などの内視鏡処置だけで切除できることがあります。また、仮にもう少しステージが進んでいても、腫瘍の範囲やリンパ節転移の範囲が限られていれば、昔のように大きな傷をつけることなく腹腔鏡で手術を行うことも可能です。
 胃癌には特有の症状はありません。多くはただの胃炎や胃潰瘍と共通しています。また、初期にはほとんど症状はありません。以前より胃の症状が気になる方や、しばらく胃の検査を受けてない方!早め早めにぜひ、比較的楽に受けられる経鼻内視鏡をお勧めします!

「高尿酸血症とは・・・」

親と子のふれあい情報誌「City Mate」189号(2011.6.17発行)に掲載した記事をご紹介します。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 尿酸とは遺伝子を構成する核酸が分解してできるもので、毎日作られては腎臓から排泄されます。
 なんらかの原因で沢山作られたり、排泄が滞ると「高尿酸血症」になります。
その後、尿酸の結晶が骨関節に沈着すると痛風発作が起こり、腎臓に沈着すると腎障害や結石の原因になります。
 高尿酸血症の原因としては動物性食品(高プリン体食品)やアルコールのとりすぎ、肥満やメタボからの影響が挙げられます。血液検査の尿酸の値が正常値(7.0)を超えたら、症状が出る前に生活習慣の改善を行い、値の変化が無ければ投薬加療が必要です。
 気になる方は一度相談して下さいね。

往診鞄 №12 「LDLコレステロール(悪玉)について」

「それぞれの事情にあった治療方針が大切!!」

くらしのネットワーク情報誌「Town Life」に掲載した上記の記事をご紹介いたします。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 LDLコレステロール(悪玉)が140以下でないと心筋梗塞や脳梗塞になりやすい。今まで常識とされて、ドックや検診で何度も言われて来たことです。さらにアメリカなどでは、LDLを100以下にした方が良いという説まであります。でも最近LDLコレステロールや中性脂肪が高い方が死亡率が低く、長生きするなど全く逆の説がマスコミに取り上げられています。
 どっちを信じたらよいの?実は動脈硬化学会と脂質栄養学会という学会間の主張の違いなのです。お互いが日本人をひとくくりにして、自説でイニシアチブを取ろうとしています。
 でも、事情は人によってそれぞれ異なります。家族みんなコレステロールが高い人、肥満や糖尿病などの合併症がある人、癌家系の人(コレステロールが高い方が癌になりにくい)、家族に心臓血管系の病気が多い人などそれぞれの事情にあった方針が大切だと思います。
 当院では実際に血圧脈波測定や頚動脈エコーにより、動脈硬化の程度や血管年齢を測定することもできます。
 悩んでいる方はもしよければ相談して下さいね。

往診鞄 №11 「痔核」

「おしりで悩んでいる方必見!!」

くらしのネットワーク情報誌「Town Life」に掲載した上記の記事をご紹介いたします。

※ご質問や不明な点がありましたら、ファックスやメールをお寄せ下さい。

 痔核の3大症状は、排便時の①出血②疼痛③脱出です。治療はまず、保存的に行います。肛門を清潔にして温め、便通を整えます。時には整腸剤や緩下剤も使用します。それに加えて、内服薬や座薬、軟膏を使用するとかなりの割合で良くなります。
 これでも良くならない場合は手術を考える前に硬化療法という手段があります。痔に直接薬液を注入して痔を固めてしまう方法です。ジオン注は新しく認可された痔核注入薬で、4段階注入法という特殊な方法を用います。簡便かつ15分程度で終わる処置であり、手術に抵抗のある人にはお勧めです。但し、1年後には15%程度の人に再発を認めます。この場合はジオンの再注入や手術を検討します。肛門疾患には、最も多い内痔核以外にも外痔核、血栓性外痔核、裂肛、痔ろう、直腸脱など他の疾患もあります。ジオン注の適応は内痔核のみです。
 おしりで悩んでいる方、一度相談してみて下さいね。